電子帳簿保存法って何? ―その基礎から詳しく解説―
2023/10/19
電子帳簿保存法って何?
その基礎から詳しく解説
今回は電子帳簿保存法についてご紹介します。
電子帳簿保存法とは? 電子帳簿保存法とは、税務上の帳簿や製品の入出庫記録など、会社が業務を行う上で作成・保管する必要がある記録に関し、それらの原本を電子化して保存することを認める法律です。 従来は、これらの記録を7年間紙の形で保存することが求められていましたが、ICTの進展に伴い、2005年にこの法律が施行され、電子化した記録も認められるようになりました。
しかし、ただ単に電子化するだけではなく、特定の要件を満たす必要があります。
電子帳簿保存法に必要な4つの要件 電子帳簿保存法では、電子データの保存に対して、次の4つの要件を求めています。 ①システム概要に関する書類の備え付け
データ作成ソフトのマニュアル等を用意しておく必要があります。これは税務調査時に税務署の職員が閲覧できるようにするためのものです。
②見読可能装置の備え付け
電子データが確認できるディスプレイやアプリ等を備え付ける必要があります。これも税務調査時に職員がデータを閲覧できるようにするためのものです。
③検索機能の確保
取引年月日、取引金額、取引先で検索できる状態にしておくことが求められます。これらの情報を一部ファイル名にすることで、一般的なフォルダ検索機能で代替可能です。
④データの真実性を担保する措置
データの真実性を担保するためには、次のいずれかの措置を行うことが求められます。
・タイムスタンプが付されたデータを受け取る、
・データに速やかにタイムスタンプを押す、
・データの訂正・削除が記録される又は禁止されたシステムでデータを受け取って保存する、
・不当な訂正削除の防止に関する事務処理規程を整備・運用する。
電子化したデータが、誰でもいつでも閲覧でき、かつ検索機能を有していること、その内容や書式などが改ざんされていないことの証明(タイムスタンプなど)が必要です。これらを満たすためには、専用のソフトウェアやシステムが必要となる場合もあります。
さらに、2023年度の税制改正では、これまで選択的だった電子取引のデータも保存の対象となり、2024年1月からはその保存が必要となるとされています。このため、企業はこの電子帳簿保存法への対応が必須となりつつあります。これまで電子化されなかった取引のレシートや納品書などをどうするか、早めに準備を進めておくことをお勧めします。
まとめ
この法律の背景には、ペーパーレス化の推進や保管スペースの削減、作業効率の向上などがありますが、一方で、適切なシステムの導入や運用、そして適切な保存の方法を理解し実行する必要があるため、それに伴うコストや管理負担も問題となる可能性があります。したがって、電子帳簿保存法は企業にとって、そのメリットと共にしっかりとした理解と適切な対応が求められる重要な法律と言えるでしょう。
適切な準備と管理を行うことで、企業は法律遵守だけでなく、効率的な業務運営やコスト削減を実現できるでしょう。
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